
「リズム」に次いで、音楽の三大要素の「メロディ」と「ハーモニー」の違いや関係性について教えてください。

とても良いテーマですね。ここを理解すると、音楽が立体的に聴こえるようになりますよ。
◎メロディ(旋律)
・音が横に流れていくもの
・一つ一つの音が時間の中でつながる
・いわゆる「歌」「口ずさめる部分」
◎ハーモニー(和声)
・音が縦に重なるもの
・同時に鳴る音の組み合わせ
・コード(和音)

2つの関係性は「何を」と「どう」語るか、と言えます。
1. 感情のコントロール
まったく同じメロディであっても、背景で鳴っているハーモニーが変わると、聴こえ方や感情の伝わり方がガラリと変わります。明るい響きのハーモニーをつければ希望に満ちた雰囲気に、暗く濁ったハーモニーをつければ悲痛な雰囲気になります。
2. ストーリー展開の演出
メロディの起伏に合わせてハーモニーを変化させていく(コード進行)ことで、音楽の中に「緊張」と「緩和(安心感)」が生まれ、曲全体にドラマチックなストーリー性をもたらします。

メロディが「何を語るか」、ハーモニーは「それをどのような雰囲気で語るか」を担っているのですね。
旋律を単調化させない、和声でうまく雰囲気が表現できる演奏を目標にしていきたいです。

メロディとハーモニーにまつわる、面白い歴史や雑学もありますよ。
『メロディが「著作権」の概念を作った?』
昔の音楽の世界では、ハーモニー(コード進行)はみんなで共有する「型」のようなものでしたが、メロディは「作曲家の個性の結晶」と考えられていました。
18世紀頃、自分の作った美しいメロディを勝手に使われないよう権利を主張し始めたことが、現代の音楽著作権のルーツの一つと言われています。ハーモニーが似ていても「パクリ」とは言われにくいですが、メロディが似ていると厳しくチェックされるのは、この名残かもしれません。

『バッハの「隠されたハーモニー」』
ヨハン・セバスチャン・バッハの音楽では、単旋律なのに和音が聴こえる、という現象がよくあります。
例えば無伴奏ヴァイオリン作品では、1音ずつしか弾いていないのに、頭の中では和音が鳴っている。これは、メロディの中にハーモニーが設計されているからです。

『天才ベートーヴェンの「メロディの苦悩」』
モーツァルトが、頭の中に湧き出る美しいメロディをそのまま書き留める「メロディの天才」だったのに対し、ベートーヴェンはメロディを作るのが非常に苦手だったと言われています。
彼の残したスケッチブック(作曲ノート)は、何度も何度もメロディを書き直して、怒りに任せたかのように真っ黒に塗りつぶされた跡でいっぱいです。しかし、彼はその「不器用でシンプルなメロディ」に、劇的なハーモニー(和音の進行)と構成を肉付けする天才でした。

おもしろい話ばかりで、いつまでも聞いていられますね。


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